◆5年物個人向け国債に満期がくる。
FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の
中村宏です。
「個人向け国債」は、2003年から発行されはじめました。
最初は10年物、つまり、満期が10年のモノだけでした。
3年後の2006年、5年満期の個人向け国債が発行されはじめました。
そして、昨年2010年からは3年物の発行がスタート。
これで、個人向け国債は、全部で3種類になりました。
今回満期を迎えたのは、2006年に発行された5年物の国債。
ひところ、私は、個人向け国債の10年物をこのメルマガでもかなり取り上
げていました。
なぜなら、これは、国債には珍しく変動金利タイプで、そのころ、「いま
はとても低金利。でもそのうち金利が上昇する可能性が高い。だから、世の
中の金利上昇につれて適用金利も上がる変動金利タイプの個人向け国債は、
安全に運用したい人にとってはお買い得だと思う」。
そんな論調を展開していました。
・・・結果、発行開始から8年を迎えますが、世の中の金利は、いっこう
に上昇に転ずることなく、地を這うようなありさま。
たいへん、申し訳なく思っています。
5年満期の個人向け国債は、固定金利タイプの商品です。
今回満期を迎えたのものの金利は、税引き後で、0.64%。
過去5年の金利情勢を振り返ってみると、結果的にはこの商品、かなりよ
かったといってもいいですね。
ちなみに直近の今月に発行された5年満期の個人向け国債の税引後の金利
は、0.296%ですから。
今回満期を迎えて償還されたお金は、総額約1兆円。
このお金は、今度は、どこに向かうのでしょう。
再度、個人向け国債には向かいそうもありません。
金利が当時よりも低いから。
では、人気の投資信託に向かうのでしょうか?
ブラジルレアル建ての米国債券投信などへ・・・。
う〜ん。もともと国債を買うような人は、資産運用の安全運転を好む人の
はず。
元本割れリスクがある投資信託には向かいにくいでしょうね。
では何?
定期預金、円建てMMF、普通預金・・・・そんなところでしょうか。
金利は低くても、物価が下落していますから、お金の価値は相対的には高
くなっています。
したがって、個人の生活に限っては、低金利でお金が増えないことを悲観
する必要はありません。
ただ、これは、収入が増えないことともセットになっているともいえるの
で、考え方はなかなか難しいのですが。