明日の株新聞
昨晩の米国市場下落も前営業日に織り込み済み。
為替相場での円ジリ安や今晩の米国市場反発期待とともに下げ止まった本日の株式相場ですが、全体観の先行きが見極めにくいなか、物色は内需系銘柄や値動きの良い材料株、新興株などに向かっています。
日経平均株価は小動きに終始。
前営業日終値を挟んでもみあい、日中値幅は26円に限られました。
連日で切り下げていた下値水準を切り上げたことで、ひとまずは下げ止まった格好でしょうか。
前営業日には「取引時間帯では、時間外取引の米指数先物でダウ平均が60ドル前後の下落を確認済み。
すでに今晩の米国市場下落を先取りしているともいえ、下落観測のある米国市場の着地を見極めたいところ」としましたが、米国市場の着地はほぼ東京時間帯の時間外先物推移と同水準となり、日経平均株価は前日比ほぼ変わらずの立ち上がりとなりました。
場中は為替相場で円がジリ安となり、戻り売りをこなしながら前営業日終値を挟んで水準を探る動きに。
ただ、前営業日に米国市場下落を先取りしていたのと同じく、本日も時間外取引の米指数先物は40ドル前後の上昇を確認済み。
買い気には今晩の米国市場反発を先取りしている面もあるでしょう。
また、引け後には党首討論で野田首相が16日の解散可能性を示唆。
為替相場で円安方向に振れており、このままの状況が続けば外需関連の見直しにつながりますが、ひとまずは米国市場と同じく欧米時間帯での推移を見極めたいところ。
さて、前営業日配信版では「狙いは好業績株 買い急がずに買い場を探れ!」と題していました。
「今は相場の落ち着きを待ちつつ、企業業績の分析を進めながら、資金シフトの受け皿となる好業績のエントリータイミングを探っていく状況」とも記していましたが、相場はひとまず下げ止まってきており、このまま好業績株を中心に打診買いを入れながら、戻り売り圧力を見ていく流れでしょうか。
今は買い急がずにじっくり取り組んでいきたいところです。
今日の東京市場から
昨晩の米国市場は軟調。
欧州問題の進展期待で買い優勢となる場面があったものの、米国財政問題の先行き不透明感から見切り売りに押されています。
欧州では、20日の財務相会合でギリシャへの支援提供が決定されるとの観測が強まったほか、スペインも救済要請を行うとの見方も強まり、信用不安問題の進展期待の高まりとともに欧州市場は上昇。
米国市場も買い優勢の展開となりました。
ただ、買い一巡後には米国財政問題の先行き不透明感が再度懸念され、取引終盤にかけて売り直される格好に。
ダウ構成銘柄の上昇はホームデポ、ウォルト・ディズニー、デュポンら6銘柄に限られています。
ダウ平均株価は、前営業日比58.90ドル安の12,756.18ドル。
ナスダック総合指数は20.37ポイント安の2,883.89ポイントで取引を終えました。
為替相場では、欧州時間帯でユーロが上昇。
ドル円も米国市場上昇局面でドルが買い進まれ、東京時間早朝では、1ドル79円台半ば、1ユーロも100円台後半の水準で取引されています。
東京株式市場では、前営業日に時間外取引の米指数先物下落を確認していたこともあり、売り買いが交錯。
日経平均株価は前営業日終値とほぼ同水準となる8660円の立ち上がりに。
寄り付き後は、為替相場の円安推移を好感した見直し買いが入るも連日の調整からの戻り売りが上値を抑える格好。
日経平均株価の日中値幅は26円に限られました。
昼休みを挟んで円が若干買い直されており、後場寄りではやや売りが先行。
日経平均株価は上げ幅を縮めるも下値を売り込む向きは限られており、前営業日終値を挟んで膠着状況が続いています。
日経平均株価終値は、3.68円高の8,664.73円。
東証1部の売買代金は概算で7693億円。
東証1部の売買高は概算で13億8815万株。
値上がり銘柄は759(45%)に対し値下がりは740(43%)、変わらずは186(11%)となりました。
本日の注目相場
株価指数が膠着感を強めたこともあり、トヨタ<7203>、ホンダ<7267>、ソニー<6758>、キヤノン<7751>ら国際優良株、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクら中核銘柄が高安まちまちとなっています。
売買代金上位では、決算評価でアイフル<8515>が人気化。
短期資金を集め、値上がり率上位にも進出しました。
材料性でシャープ<6753>が買い進まれた半面、日立金属<5486>が見切り売りに押されるなど、明暗が分かれています。
全体観を傾け難いなか、ソフトバンク<9984>、NTT<9432>、KDDI<9433>の通信株、内需系の三菱地所<8802>、JT<2914>なども底堅く、外部要因に左右されにくい銘柄が選好される格好に。
値動きの軽いガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>など新興株も全市場の売買代金上位に進出しました。
セクターでは、アイフル<8515>の人気化で消費者金融物色を誘い、その他金融が業種別株価指数騰落の値上がり最上位に入っています。
三菱地所<8802>、三井不動産<8801>の不動産、LIXIL<5938>、リンナイ<5947>の金属製品、野村ホールディングス<8604>、大和証券<8601>の証券業、任天堂<7974>のその他製品なども続きました。
一方、日立電線<5812>、住友鉱山<5713>の非鉄、ブリヂストン<5108>、住友ゴム<5110>のゴム製品、帝人<3401>、東レ<3402>の繊維製品、JXホールディングス<5020>、出光興産<5019>の石油製品、JFEホールディングス<5411>の鉄鋼など、素材系業種が値下がり上位に並んでいます。
個別では、増額の日本信号<6741>、アイダエンジニアリング<6118>、太平洋セメント<5233>、東映<9605>らが個別物色を集めました。
新興市場では、全市場の売買代金上位にも進出したガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が活況高。
東証1部と同じく、楽天<4755>、ジェイアイエヌ<3046>、スカイマーク<9204>、USEN<4842>、ミクシィ<2121>ら非製造業が物色されています。
本日の注目銘柄シューティング!
<8515>アイフル 312円 前日比+72円(+30.00%)
急反発。
前営業日引け後に発表した中間決算が大幅増益となり、決算評価の買いを集めている。
前営業日に決算警戒売りで崩れていたこともあり、決算内容がポジティブサプライズとなったようだ。
前営業日日中高値を上回ると、7日に付けた年初来高値をも上回り、短期資金を集めて人気化。
売買代金上位、値上がり率上位に入っている。
<5486>日立金属 561円 前日比−63円(−10.10%)
大幅続落。
一時ストップ安を付け、年初来安値を更新してきた。
前営業日に発表した日立電線<5812>との経営統合もシナジー効果に乏しいとの見方や今後発表される合併比率も見極めにくく、見切り売りが出ているようだ。
前営業日に買い進まれた日立電線<5812>は売り直されたほか、親会社の日立<6501>も軟調に推移している。
<6753>シャープ 163円 前日比+11円(+7.24%)
急騰。
米半導体大手インテルから300億−400億円程度の出資観測報道が伝わり、先行き期待感が高まったほか、米クアルコムからも出資を受ける可能性も報じられており、材料性に着目した買いを集めている。
売り残超過の信用需給から、売り方の買い戻しも誘っているようだ。