◆ いよいよ、今年最後の決算シーズンが到来!
いよいよ、今年最後の決算シーズンが到来しようとしている。米国では、すでに第3四半期の米企業決算発表が本格化。
決算の数字が、株価に顕著に現れるようになってきており、神経質な相場展開となっている。
たとえば、16日の米国株式市場では金融大手ゴールドマン・サックスなど市場予想を上回る内容の四半期決算を発表した銘柄を中心に買いが優勢となった。
市場予想を上回る決算と同時に2012年12月期通期の1株利益見通しの引き上げを発表したジョンソン&ジョンソン、大幅増益決算を発表したマテルはなども牽引し、ダウ工業株30種平均、S&P500種などの主要指数が大幅高となった。
しかし、18日の米国株式市場では、グーグルの2012年7〜9月期決算が予定より数時間早く株式市場の取引時間中に発表された。
いわゆる『フライング』で決算発表されてしまったわけであるが、決算内容の減益数字が嫌気されて株価が急落し、取引が一時停止された。
印刷会社の手違いが原因であるが、取引時間中に誤って発表されたグーグルの決算は、利益・売上高がともに市場予想を下回り、最終利益は前年同期比20%減の着地が伝わると、グーグルの株価は10%超も急落する場面があり、終値でも前日比8.01%安の695ドル。
ほかのIT株にも売りが広がった。
さらに、18日の米国株式市場の引け後に発表されたマイクロソフトの2013年度第1四半期(9月30日締め)決算は、「Windows」事業の売り上げが前年同期比で33%減少したことが打撃となり、事前の予想を下回った。
売り上げは160億1000万ドル、1株あたりの利益は53セント。
市場予想の1株あたりの利益は56セントを下回り、1年前の同四半期の1株あたりの利益は68セントを大きく下回り、時間外取引で株価は2%程度下落した。
このようななかから見えてくるのは、米国では売上高が予想数字を達成できない企業が相次いでおり、企業の投資や年末商戦に警戒感が出ているということである。
◆米国では決算発表本格化で、年末商戦などに警戒感も!
これまでにS&P500指数構成企業のうち70社が第3四半期決算を発表したが、売上高がアナリスト予想に届かなかった企業の割合は半数以上の54.3%に達している。その理由は企業ごとに異なるが、大統領選の争点ともなっている米国国内の需要が鈍化してきたという指摘や、債務危機に苦しむ欧州の需要低迷を挙げる声が多い。
クレジットカード大手のアメリカン・エキスプレスは、カード利用者の支出が鈍化しつつあると指摘。
最も裕福な顧客層の支出は過去9四半期連続で2桁の伸びを示してきたが、今年第3四半期の伸び率は8%に鈍化したと明らかにした。
半導体大手インテルの売上高も、第3四半期の伸び率は5%減少。
企業による支出が減少しているとして、第4四半期の売上高見通しについてもアナリスト予想を下回る水準に設定した。
先週は、すでに決算を発表しているアルコアやシェブロンの業績悪化見通しを嫌気して、ダウが続落したという記憶も新しい。
ここから見えてくるのは、市場は企業決算の行方を懸念していることと、弱気な予想が大勢を占めているということである。
さらに、株式市場は、企業の決算発表に一喜一憂する姿が浮き彫りになっており、まさに決算シーズン特有の「神経質な相場」となっている。
さらに、米国では議会で与野党が財政赤字削減策に合意しない限り来年から6000億ドルに上る強制的な支出削減や増税が実施される「財政の崖」も、大きな懸念の的となっている。
また、国際的な事業展開を進めている米企業にとって、ドル高も収益の圧迫につながっていることも要因としてあるかもしれない。
いずれにせよ、年末商戦における消費支出の鈍化を警戒する企業が増えているのは確かである。
◆日経平均は9000円の大台を回復! これからは全体相場から「局地戦」へ!
さて、来週からいよいよ日本企業の決算が発表される。日本の株式市場は、欧州問題に対する対策が進み、ユーロが上昇してきたことで投資家のリスク許容度が回復している。
米景気指標も堅調なものが多い。
日経平均株価も、国経済統計の堅調や為替相場の落ち着きが好感されて、この一週間で一本調子で上昇してきた。
金曜日の東京株式市場も、市場参加者の下値買いの意欲が強く、朝方の売り一巡後は切り返し、日経平均は一時9016円まで上昇。
終わってみれば、週間上昇率は5.5%と今年2月の第3週(4.9%)を上回り、今年最大の上昇ピッチとなった。
日本企業でも来週から決算発表シーズンを迎える。
24日には30社、25日は59社、26日には125社の決算が発表される。
さらに29日からは107社、189社、350社、77社、231社と、再来週にかけて決算発表はピークを迎えることになる。
決算発表で株価は大きく左右される。
19日(金)の株式市場でも、日本経済新聞が19日付でNEC<6701>について「2012年4〜9月期の連結営業利益は400億円程度と、前年同期(67億円)の6倍になった模様。
従来予想の10億円を大幅に上回る」と報じて人気化。
前引けと同時に会社が正式に増額修正を示し、好業績観測を上回る利益着地となったことから、前日比+10.48%の大幅高となった。
逆にスタートトゥデイ<3092>などは、19日(金)の株式市場で、前日に発表した上期業績着地見込みの減額修正を発表したことが売り材料視され、前日比マイナス6.87%と大きく値を崩すことになった。
今後、開示が本格化する決算銘柄の狙い方としては、好業績が期待される銘柄の決算発表日を予め調べておき、先回りして仕込んでおくのが基本となる。
全体相場で買うよりも、銘柄を絞って狙う、「局地戦」が展開されることになるだろう。
決算相場の「局地戦」を制するためにも、弊社アナリストによるレポートなどを活用していただきたい。