「投資情報評価メルマガ」です。
久しぶりですが(なので?)、重い話題「日本国債は破綻するのかどうか」です。
自分が最初に日本国債残高が危ないというのを聞いたのは1993年でした。
先日杉並区長を辞められた山田宏さんがまだ衆議院の頃、彼の自宅での勉強会でのことでした。
そのときは「20世紀の終わりまではもたないだろう」と思い、
2001年頃には、2008年の壁は超えられないだろうと思いましたが、
結局まだもっています。
最近のこの手の議論を見ていると、
そもそも何を国債破綻と呼ぶのか、何を国家財政破綻と呼ぶのか、という定義が曖昧なので
かなり「破綻しない論者」には逃げしろがあるなぁという印象なのですが、
世間の一般世帯で借金の大きさを計測するときに常識的な尺度である
「国家予算規模(年間)に対する債務の倍率」というものでは到底破綻を予測できなかった
というのが自分の学習したことでしょうか。
日本の税収は約40兆円ぐらい(もう少し少ないですが)
国債残高は919兆円< http://www.mof.go.jp/gbb/2212.htm >
なので、
年収の22倍の負債ということになります。
仮に不動産であっても、年収300万円の人に6000万円は貸さないよねというのが
この数字が危ないと昔から言ってきた自分らの根拠です。
しかしまぁ、それでも93年当時から言われていた奥の手がありまして、それがインフレでした。
結局、国はお札を印刷できますので、この意味では無敵なわけです。
ぐっちーさんなどは、これを根拠に「外貨建の国債発行でない以上、なんの問題もない」と
「夫婦で奥さんが1億円の預金を、旦那が1億円の借金をしているだけだから、
消す(会計的にはオフバランスと言います)ことが出来る」
などと言っているわけです。
んんん?それって結局、国債の償還停止にはならないけれど、富の喪失ではあるんですよね。
いまある貯金が減価することによって、国債を返済できるようになるわけです。
本当にそれで問題ないのだったら、ぐだぐだ言ってないですぐに増刷すればいいわけですよ。
でも、そんなことをしたら現状の予算が追認されなくなる(新しい国債が発行できないと、
強烈な緊縮財政になるし、再び国債が増刷で価値を下げて返済されることが予測されると、
国債の買い手がいなくなって金利が上がる)ので、役人は出来る限りそういうことはしたくないんです。
結局は既得権を保護するために、「返さなくていい」とか「いつでも返せる」と言っているわけで、もう無茶苦茶です。
予算の縮減はそのまま役人権益と給料の減少を意味しますからね。
どのみち、今の役人が役人を続けたくなるような状態を維持しながら、
国家予算を半分に減らす(国債の発行を辞める)ことなんて出来ないわけです。
なんとか増税などで現状の不健康な状態を延命するふりをしていますが、
もしそれで国債が返し終わってしまうぐらいなら、既得権の中でガンガン使ってしまうでしょうし
(今は返す返さないという状態でもないですし)、それが返し終わったからと言って、
彼らが厳格な財政規律を守る可能性などないんです。
なぜか、日本では通貨供給論というのはメディアからパージされるようですが、
それはここに本筋があるからではないかとも思うのです。
また最近、「投資を促せば経済が発展する」的な話も聞きましたが、
生産性の向上は、必要労働の減少を招き、仕事がない人を確実に増やします。
同時に、投資の結果は保障されていません。あくまでも投資は限られたパイの奪い合いで
しかなく比較優位な者がリターンを得るのであり、絶対的な保障ではないのです。
たとえば、日本の技術は優れていますが、商売上は奮いません。日本の家電が優れたイメージを
持っていることは最近の調査でもわかっていますが、
二倍の金額を出してまで買う価値はないと考えるのが多数派です。
これは国内でも同じで、ノートパソコンであれば、
レッツノートが最優秀であることは多くの人が認めますが、
今どき20万円のノートパソコンを買う人は多数派ではありません。
同じことが多くの家電や自動車で起こっているわけです。
これはワーキングプアの人々に「努力すれば抜けられる」などと言うのも同じで、
弁護士ですら余れば就職できなかったのは記憶に新しいのです。
その弁護士といえども誰もがなれるわけではありません。
結局、努力そのものが報われるのではなく、努力の投下地点によって報われるわけです
努力も投資のうちですが、「年寄りが金融資産を持ち込んでいるから、
投資が進まなくて日本が停滞している。だから投資させなければ」というのは、
それだけ苦労して貯め込んだお金を先行き不透明な投資に回させるというのですから、
ほとんど詐欺的なことです。
増刷でも結果は似ていますが、「投資は自己責任」というような犯罪的洗脳とは
無関係であること、今の80歳代以上は破滅的なインフレを経験していることのふたつから、
今更経験のない投資に金を回させるなど、やはり犯罪でしかないと自分は考えています。
話がそれたように見えるかもしれませんが、結局のところ、これだけの国債残高を返済するには、
なんらかの富の喪失を必要とするしかないと言うことです。その方法により、
ぐっちーさんのような現場のディーラーは「国債が取引されていれば破綻とは思わない」
などと言いますが、それはやはり売国的であろうと思います。
また、上に書いたような既得権を守る側からみて、一番の突発的で直接的な実質破綻の可能性は、
日本の国債金利が4%になることでしょう。
こうなると利払いだけで国庫が空になるので、それが直接的に最もあり得る話ということに
なります。ぐっちーさんなどは、こうした事態を「一度にみんなが国債を売り浴びせなければ
起こりえない」などと言っていますが、インフレになれば普通に利上げになりますので、
そんな前提条件は必要ありません。
つまり、こうしたデフレ状態を役人は明らかに歓迎していると思います。需要不足こそが
問題であることは多くの人の共通認識であろうと思いますが、役人によって、
あるいはインフレによってこうした需要不足が顕在化させられる可能性はまずないと思うのです。
で、自分がもし財務大臣だったらなにをするかですが、
すぐに増刷もしますが、超スバルタで有名なIMFも入れますね。
それぐらいの外圧がないとこの国はもうダメです。
増刷の方法は「これから6ヶ月間、日本国籍保持者には毎月50万円を配ります」
で、十分です。400兆円弱になりますから、一通りインフレに振れるでしょう。
無税なので、かなりの需要圧力もあります。
インフレが抑えられるかどうかはわかりませんが、一部の人間が不健全で恣意的な状況を利用して
既得権を守っているよりはよほどマシです。
この意味、自分は自由主義者ですので、節度ある競争や、機会均等を非常に重視します。
富の集積はそれはそれで重要であると思いますが、
このような節度がない既得権の保護は日本を弱体化させるだけです。
その上で、国家予算を額面維持にするとかそういうのが良いかもしれませんね。
これが出来ればIMFは必要ありませんが、まぁ、無理でしょうね。