■明日の株新聞
欧州問題の進展、米国でも良好な経済指標が続くなど、外部要因の改善とともに買い優勢の展開となった本日の株式相場ですが、外需関連株や金融関連など大型株の活躍とともにほぼ全面高商状となっています。
日経平均株価は大幅続伸。
一気に25日移動平均線(8883.50円)、75日移動平均線(8858.31円)を上抜き、大台9000円に迫ってきました。
15日の反発から3営業日連続で窓を開けながら上伸したことで「上げ三空」の形状に。
高値圏では弱気シグナルですが、安値圏からの出直りで短期過熱感はあるものの、基調としてはまだまだ上向きでしょうか。
前営業日の押し上げ要因となった為替相場の円安推移ですが、昨晩からも欧州問題の進展、米国経済指標を好感する流れが続き、ドル、ユーロともに上昇。
また、国内でも景気対策や金融緩和期待が高まるなか、前営業日にも活躍していたユーロ高が追い風となる外需関連株や債務問題との関係性の深い金融関連を押し上げ、株価指数のさらなる上伸につながっています。
10月10日引け後に配信した前回の厳選銘柄付き特別市況分析レポート「円高局面でも収益確保! 海外で稼ぐ【グローバル企業!】」の提供銘柄・TPR<6463>、ジェイアイエヌ<3046>が揃って大幅高。
外部要因改善の追い風に海外戦略を強めている企業が活躍しました。
さて、前営業日配信版では「外需関連の復調を捕捉 今後は業績確認が焦点か」と題していたと思います。
投資戦略としても紹介していた「外需関連の打診買い」が効いていますが、やはり全体観から見ると、日経平均株価の「上げ三空」に見られるように過熱感からの短期調整の可能性もあるだけに、ここから上値を積極的に買うのはリスクを伴うのではないでしょうか。
個別銘柄では、増額のNECモバイリング<9430>、ソフトバンク・テクノロジー<4726>や減額修正発表も買い進まれた安川電機<6506>に見られるように、やはり日程面では来週以降の国内決算シーズンを前に集計業績の増額、減額発表が出やすいタイミング。
短期視点では決算絡みの材料株が狙い目となるものの、そろそろ事前の好決算期待から開示後の反応を見据えた「決算発表を先回りするスタンス」を準備しておきましょう。
■今日の東京市場から
昨晩の米国市場は堅調。
連日の上昇から利益確定売りが出たものの、良好な住宅指標を好感した買いが支えています。
ここ連日で良好な企業決算、経済指標を好感する流れが見られていたこともあり、利益確定売りが出る場面もあったものの、この日発表された経済指標では、9月の住宅着工件数が前月比15%増の87万2000戸となり、市場予想の77万戸を上回ったほか、前月分も速報値の75万戸から75万8000戸に上方修正されるなど、良好な住宅指標を好感した買いが入りました。
ダウ構成銘柄では、前営業日取引終了後に決算を発表したインテル、IBMらが売られたものの、アルコア、ジョンソン&ジョンソン、ウォルト・ディズニー、キャタピラー、P&G、ベライゾンらが買われるなど、値上がり銘柄が目立っています。
ダウ平均株価は、前営業日比5.22ドル高の13,557.00ドル。
ナスダック総合指数は2.95ポイント高の3,104.12ポイントで取引を終えました。
為替相場では、欧州時間帯で格付け会社のムーディーズがスペインの格付けを維持したことで、欧州問題が和らぎ、ユーロ買いの流れが持続。
ドル円でも経済指標好感のドル買いが続き、東京時間早朝では、1ドル79円台前半、1ユーロ103円台半ばの円安水準で取引されています。
東京株式市場では、米国市場の堅調展開、為替相場の円安推移を好感した買いが先行。
日経平均株価は8886円の続伸スタートに。
寄り付き後は、物色銘柄も中核銘柄の活況高と相場復調を感じさせる内容となり、日経平均株価は節目8900円台を回復。
前場後半では中国経済指標を確認、さらに上げ幅を拡大しました。
昼休みに中国市場が上昇しており、後場寄りも買い先行の立ち上がりに。
円安進行が見られた為替相場で円が買い直され、買い一巡後は利益確定売りを誘ったものの、取引終盤まで買い気が続いています。
日経平均株価終値は、176.31円高の8982.86円。
東証1部の売買代金は概算で1兆2230億円。
東証1部の売買高は概算で20億8827万株。
値上がり銘柄は1327(78%)に対し値下がりは240(14%)、変わらずは114(6%)となりました。
■本日の注目相場
外部要因の進展に加え、国内で景気対策や金融緩和期待が高まるなか、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクが好調。
証券業の野村ホールディングス<8604>、その他金融のオリックス<8591>、不動産の三菱地所<8802>など関連業種も物色されています。
為替相場の円安推移、商品相場の堅調展開を受けて、三菱商事<8058>、三井物産<8031>、コマツ<6301>ら市況関連もしっかり。
トヨタ<7203>、ホンダ<7267>、キヤノン<7751>、ソニー<6758>ら国際優良株も総じて強含みました。
売買代金上位では、ここ連日で最上位に進出しているソフトバンク<9984>が首位となったものの、買い一巡後は利益確定売りに押される流れ。
ボリュームは減少気味で、他の大型株への資金シフトが確認されています。
セクターでは、住友金属鉱山<5713>、三菱マテリアル<5711>の非鉄ら業種別株価指数騰落の値上がり最上位に。
三菱商事<8058>、三井物産<8031>の卸売業、コマツ<6301>、日立建機<6305>の建機含む機械など、市況関連が並びました。
中核業種でもあるデンソー<6902>、トヨタ<7203>の輸送用機器、日立<6501>、東芝<6502>の電気機器も好調。
所属全銘柄が上昇した保険業、その他金融、野村ホールディングス<8604>の証券業など金融関連業種も続いています。
値下がり業種はなく、空運、石油石炭、陸運、建設など、内需系業種は物色が見送られました。
個別では、増額のNECモバイリング<9430>、ソフトバンク・テクノロジー<4726>、目標株価引き上げの日新電機<6641>、減額も格上げとされた安川電機<6506>ら決算絡みの材料株が賑わっています。
新興市場では、バイオ関連のタカラバイオ<4974>、カイオム・バイオサイエンス<4583>らが買われた半面、コスモバイオ<3386>、医学生物学研究所<4557>、テラ<2191>らが軟調となるなど、バイオ関連はまちまち。
軽量級のエイチーム<3662>、エニグモ<3665>、ジェイアイエヌ<3046>、ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>などに短期資金で賑わいました。
■本日の注目銘柄シューティング!
<9984>ソフトバンク 2,600円 前日比−25円(−0.95%)
反落。
買い先行も売り直された。
米携帯電話事業3位のスプリント・ネクステルの買収に絡んだ増資懸念の後退が買い材料視されたものの、直近の戻りからの利益確定売りや戻り売りに押された。
また、全体相場の浮上でボリュームが低下しており、値幅取りに着目した投資資金が他の大型株に分散した面もあるようだ。
<8306>三菱UFJFG 372円 前日比+8円(+2.20%)
続伸。
前営業日に伝わった政府による緊急経済対策の策定方針、日銀が30日の金融政策決定会合で物価目標達成に向けて追加緩和を協議するとの報道が伝わり、恩恵の見込める金融関連を物色する流れが強まった。
同社含むメガバンク、証券業の野村ホールディングス<8604>、その他金融のオリックス<8591>、三菱地所<8802>の不動産などが買われている。
<8058>三菱商事 1,431円 前日比+56円(+4.07%)
大幅高。
海外で良好な米国経済指標、欧州問題の進展が好感されるなか、為替相場の円安推移、商品相場の堅調展開とともに市況関連を物色する流れとなっている。
同業の三井物産<8031>、コマツ<6301>ら市況関連や設備投資関連のファナック<6954>なども買われた。