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■ 〜 世界経済の成長率見通しが引き下げ! 〜 ■
株式市場の低迷が続いています。12日の日経平均株価は前日比−12円と小幅ながら4日続落し、7月26日以来の安値を更新する格好となってしまいました。
国債の無制限買い入れを発表した欧州、QE3(量的緩和の第3弾)を発表した米国、そして日本でも追加金融緩和を発表して、流動性相場が始まるとの期待感が強まっていたにも関わらずです。
株式市場を低迷されている最も大きな要因は、世界的な景気減速懸念です。
追加金融緩和の目的は、景気を回復させることですから、足元の景気減速は仕方がないにしても、緩和をしてもなお景気の悪化に歯止めがかかっていないということなのでしょう。
こうした中で、今週9日からIMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が行われています。
毎年秋に開催されるこの年次総会は、世界銀行の本部があるワシントンD.Cが2年間会場になった後、翌年は別の加盟国で開催されることになっていますが今回は1964年以来、48年ぶりに東京での開催です。
こうした中でIMFは9日、世界経済の成長率見通しを引き下げました。
2012年は前回の3.5%から3.3%、2013年は3.9%から3.6%へと下方修正です。
また、世界銀行は中国経済の悪化を理由に、日本を含めた東アジアの経済成長見通しを下方修正しています。
■ 〜 中国に引きずられる日本の株式市場 〜 ■
世界の経済は連動しています。もはや単一の国家のみで経済活動が成立することはなくなりました。
当然ながら、株式市場も基本的には全体の流れは変わりません。
世界の株式市場との連動性
ダウ平均(日足1年チャート)http://www.kabutomato.jp/lp/images/121012/NYdow.html
ナスダックhttp://www.kabutomato.jp/lp/images/121012/NASDAQ.html
DAXhttp://www.kabutomato.jp/lp/images/121012/DAX.html
日経平均http://www.kabutomato.jp/lp/images/121012/NIKKEI.html
上海50指数http://www.kabutomato.jp/lp/images/121012/shanghai.html
この中で、目立って株価が低迷しているのが中国です。
先月末には2009年2月2日以来、約3年8カ月ぶりの安値を更新しています。
中国の景気減速によって、世界中が影響を受けることになりますが、その中でも、特に同じ東アジアの日本経済は影響が大きくなります。
日経中国関連株50に採用されている50銘柄を見ても、ほぼすべてが日経平均株価の主力であり、それだけ中国との関連が深いことが分かります。
日経中国関連株50はこちらhttp://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?cid=5&idx=nkcrs50
QE3の発表後に、NYダウは4年10カ月ぶりの高値を更新する場面があった一方で、日経平均株価がそれほど上昇していないのは、中国経済の減速が1つの大きな要因です。
しかしながら、東アジアという同じ経済地域に属しているにも関わらず、現在の日中関係は領土問題などから、決して良好とは言えない状態が続いており、こうした中で、中国は日本で開催されるIMFの年次総会への不参加を表明しました。
長期的にはともかく、短期的には同じ経済圏の中国との関係悪化は、両国の株式市場にとってデメリットでしかありません。
■ 〜 日本はいつもトゥーリトル・トゥーレイト 〜 ■
中国との関係以外にもう一つ、日本株の出遅れ要因があります。それは、追加緩和です。
日銀は、先月の金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の10兆円増額という追加緩和を決定しました。
しかし、ECB(欧州中央銀行)が無制限の国債購入プログラムを発表したほか、FRB(米連邦準備理事会)はQE3の期間を無期限としたことに比べると、ややインパクト不足です。
為替市場でも、緩和が期待ほどの大きさではなかったことから、再び円高方向に動く結果となりました。
日本の対応は、いつもトゥーリトル・トゥーレイト(小さ過ぎて、遅過ぎる)になる傾向があります。
先月の追加緩和も、欧米の緩和が先に決定したことによって、緩和を実施せざるを得なくなった、という印象になってしまいました。
■ 〜 マクロの材料で相場が動くとき投資家はどうすれば良いのか? 〜 ■
こうした中で、マーケットでは今月30日に開催される日銀金融政策決定会合でさらなる緩和に踏み切るとの見方が強まっています。日銀は、今年2月にインフレ率の目標を1%とする事実上のインフレターゲットを導入しましたが、IMFは先日9日に発表した半期経済見通しで、「日銀がインフレ目標を達成するには、さらなる緩和が必要」だとしています。
結局、先月の緩和ではトゥーリトルだったわけです。
そして、一部でさらなる追加緩和を期待する声もあった今月4〜5日の日銀金融政策決定会合では、緩和を見送りました。
おそらく、30日の会合では追加緩和を決定すると思いますが、すでに株式市場は大きく下落しており、トゥーレイト(遅過ぎる)という“いつもの”結果になってしまったような感もあります。
いずれにしても、現在の株式市場はこうした「マクロ」の要因を中心にして動いています。
今後、国内の企業決算が本格化してくると、「業績」という「ミクロ」の材料へと移行していきますが、それまでは要人の発言であったり、中央銀行の決定など、予想がしにくい材料に一喜一憂せざるを得ないでしょう。
それならば、こうした外部要因に左右されにくいように、投資期間をいつもよりも少し短くしてみるなど、そのときの相場環境に合った方法で対応していくのが良いのではないでしょうか。