■明日の株新聞
週末要因や外部要因の小休止による利益確定売りも景気対策や金融緩和期待の高まりによる国内要因が押し目買いを誘い、堅調展開となった本日の株式相場ですが、日経平均株価など株価指数は短期過熱感を乗り越え、上げ幅はわずかながらも4日続伸で着地したあたりは上値志向の高さを感じさせるのではないでしょうか。
日経平均株価は続伸。
前述の通り利益確定売りで弱含む場面があったものの、終わってみれば大台9000円を回復して引けています。
前営業日配信版でも「短期過熱感こなすか 決算先回りの準備を」と題していたように、本日は連日の上伸からの「短期過熱感をこなすかどうか」が焦点でした。
3営業日連続で窓を開けながら上伸する「上げ三空」の形状を挙げて「高値圏では弱気シグナルですが、安値圏からの出直りで短期過熱感はあるものの、基調としてはまだまだ上向きでしょうか」とも見ていましたが、短期過熱感をこなしながらの続伸着地で上向きの基調が改めて確認された格好でしょう。
基本線では、ここから外部要因、国内要因ともに大きな変化がなければ、ひとまずは値固め意識が高まるところ。
株価指数が水準を固めれば、下方から急速に切り上げている5日移動平均線と25日移動平均線のゴールデンクロス形成が見込まれるだけに、チャート良化も投資家心理改善に働くのではないでしょうか。
ただ、日程面では来週以降の国内決算シーズンを前に集計業績の増額、減額発表が相次いでいます。
本日では、好業績観測から増額発表の伝わったNEC<6701>が買い進まれた半面、減額実施のスタートトゥデイ<3092>が売られるなど、全体観に沿って闇雲に狙うより、今後は個別視点も求められてくるでしょう。
そこで前営業日にも「そろそろ事前の好決算期待から開示後の反応を見据えた『決算発表を先回りするスタンス』を準備しておきましょう」とも締めていましたが、決算銘柄に絞って銘柄選択を行なっていきたいところ。
会員情報では、前回7月配信の決算レポート銘柄でもあり、前営業日18日のインターネット会員A情報で買い推奨していたMonotaRO<3064>がわずか1営業日で目標株価を達成しました。
好地合いのなか今後決算開示を予定している好決算期待銘柄には「先回り買い」が入ってきているだけに、来週以降は「決算先回り買い戦略」が軸となるのではないでしょうか。
■今日の東京市場から
昨晩の米国市場は軟調。
取引時間中に明らかとなったグーグルの決算内容が振るわず、テクノロジー関連を中心に相場を押し下げています。
取引時間中に商業印刷会社のRRドネリー・アンド・サンズがグーグルの許可を得ずに決算短信を公表。
突発的事象で売買が停止し、後に同社が正式に決算を発表したものの、内容が振るわず、アクシデントとともに見切り売りが出ました。
ダウ構成銘柄では、インテル、IBM、シスコシステムズ、マイクロソフトらテクノロジー関連を中心に下落。
グーグルは7%超の下落、フェイスブック、アップル、アマゾンなども売りに押されています。
ダウ平均株価は、前営業日比8.06ドル安の13,548.94ドル。
ナスダック総合指数は31.26ポイント安の3,072.87ポイントで取引を終えました。
為替相場では、米国市場が下落したものの、欧州でのEU首脳会議、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、コンファレンス・ボード米景気先行指標総合指数の米国経済指標が市場予想を上回ったこともあり、ドル、ユーロとも底堅い動き。
東京時間早朝では、1ドル79円台前半、1ユーロ103円台半ばの水準で取引されています。
東京株式市場では、米国市場の反落でひとまず利益確定売りが先行。
日経平均株価は8944円の反落スタートに。
寄り付き後は、国内要因として景気対策や金融緩和期待が高まっており、押し目買い意欲は根強く、日経平均株価は一時9000円の大台に乗せたものの、利益確定売りでマイナス圏に沈みました。
昼休みも時間外米指数先物、為替相場など外部要因の変化が限られ、後場では利益確定売りが先行したものの、国内要因を期待した押し目買いが入り、取引終盤まで買い気が継続しています。
日経平均株価終値は、19.82円高の9002.68円。
東証1部の売買代金は概算で1兆393億円。
東証1部の売買高は概算で17億5927万株。
値上がり銘柄は991(58%)に対し値下がりは519(30%)、変わらずは171(10%)となりました。
■本日の注目相場
指数もみあいで、直近で買い進まれていた三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンク、トヨタ<7203>、ホンダ<7267>、キヤノン<7751>、ソニー<6758>ら国際優良株など中核銘柄が小動きに終始しています。
売買代金上位では、本日もソフトバンク<9984>が最上位に進出。
直近浮上からの戻り売りやボラティリティ、ボリューム低下で資金分散が見られました。
代わってファナック<6954>、コマツ<6301>、ダイキン<6367>の設備投資関連、中国関連が買い進まれています。
個別では、好業績観測から増額発が伝わったNEC<6701>、大飯原発稼働継続が期待された関西電力<9503>などが材料物色を集めました。
セクターでは、中部電力<9502>、中国電力<9504>の電気ガスが業種別株価指数騰落の値上がり最上位に。
コマツ<6301>、日立建機<6305>の機械、ブリヂストン<5108>、住友ゴム工業<5110>のゴム製品が続いています。
中核業種の日立<6501>、東芝<6502>の電気機器、日産自動車<7201>、ホンダ<7267>の輸送用機器も堅調。
野村ホールディングス<8604>の証券、第一生命<8750>の保険など金融関連も底堅い動きとなりました。
一方、任天堂<7974>のその他製品、クレディセゾン<8253>のその他金融、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の海運などが値下がり上位となっています。
新興市場では、バイオ関連のタカラバイオ<4974>、コスモバイオ<3386>、テラ<2191>などが売られた半面、DNAチップ<2397>、カイオム・バイオサイエンス<4583>、オンコセラピー・サイエンス<4564>らが買われるなど、本日も高安まちまち。
本日新規公開のトレンダーズ<6069>が気配上限で買い気配となり、軽量級のイーブックイニシアティブジャパン<3658>、エムアップ<3661>、モブキャスト<3664>、アドバンスト・メディア<3773>、ジェイアイエヌ<3046>などに短期資金で賑わいました。
■本日の注目銘柄シューティング!
<9984>ソフトバンク 2,569円 前日比−31円(−1.19%)
続落。
前営業日に買い一巡後に売り直された流れを引き継いでいる。
米携帯電話事業3位のスプリント・ネクステルの買収から、スプリントを通じた通信事業5位のクリアワイヤの議決権取得と世界戦略強化が期待されたものの、ボラティリティやボリューム低下で買い気が低下しているようだ。
<6701>NEC 137円 前日比+13円(+10.48%)
急反発。
上期連結営業利益が400億円程度の着地となる好業績観測が伝わり、見直し買いが先行、前引けと同時に増額修正を示し、好業績観測を上回る利益着地となったことから、後場まで買い気が続いている。
決算発表を前に材料性が好感された。
<6367>ダイキン 2,205円 前日比+88円(+4.16%)
連騰。
節電効果を高めて新しい除湿システム発売が報じられているほか、BNPパリバ証券が下期計画の据え置きを予想し、見直し買いが継続している。
また、同証券によると中国メーカーの攻勢による現地シェア低下には懐疑的な見方を示したことも評価要因となったようだ。