■■ 〜 明日の株新聞 〜 ■■
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欧米市場とも高値圏にある株価指数に利益確定売りと押し目買いが交錯、値固
め意識が見られたほか、国内でも注目された金融当局による金融政策も場中に
追加金融緩和方針が伝わり、これを切っ掛けに活況を呈した本日の株式相場で
すが、4月末にも見られた過去の「出尽くし」の影響もあって、取引終盤には
伸び悩むなど、まずは今後の緩和効果を見極めたいとの意識も高いのではない
でしょうか。
日経平均株価は上伸。
後場に伝わった日銀金融緩和、為替相場の円安推移とと
もに高値9288.53円を付け、5月以来の高値圏まで上昇しました。
前述の通りに
終盤には伸び悩んだものの、着実に水準を切り上げてきています。
前営業日配信版では「明日は金融当局の出方に注目 物色シフトへの備えを」
と題して「通常では昼休みから後場寄りで明らかとなる当局の金融政策動向、
そして引け後の日銀総裁会見を見極めたいところ」とも記していましたが、金
融当局の追加金融緩和方針を切っ掛けに強調展開となるなど、やはり重要イベ
ントの日銀金融政策決定会合の政策結果が相場のポイントとなりました。
緩和政策は実質ゼロ金利の維持、長期国債と短期国債の購入額を5兆円ずつ増
額し、資産買い入れ等基金における資産購入を45兆円から55兆円に拡大するこ
とを全員一致で決定。
上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)
の増額はなく、株式相場への直接的なインパクトはありませんでしたが、ひと
まずは金利低下効果による物価安定や円高対策え見込まれる円安推移を追い風
に相場の支援材料となっています。
さて、昨日にも「明日のイベント注視の流れとなっていますが、追加金融緩和
効果による相場浮上、そして緩和効果が追い風となる物色対象へのシフトに備
えていく局面との見方に変更はありません」とも締めていましたが、期待通り
の相場浮上が見られたことで、今後は「緩和効果が追い風となる物色対象への
シフト」を本格化させていくべきでしょう。
これまではイベント警戒の流れのなか、金融緩和発動時にも過剰流動性相場到
来の期待が恩恵となり、難地合いのなかでも短期資金を集められる「リスキー
ながらもよりハイリターンが見込める投資対象」が存在感を発揮していました
が、今後は相場浮上に付きながらも、より好パフォーマンスが見込まれる投資
対象を選別していく必要があります。
もちろん、短期的な相場調整は付きものですし、焦って買い上がる必要もあり
ませんが、過去の金融緩和効果、過剰流動性相場で好パフォーマンスを演じた
銘柄を再度見直すタイミングとなりそうです。
■■ 〜 今日の東京市場から 〜 ■■
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昨晩の米国市場はもみあい。
前営業日に続いて利益確定売りが上値を押さえた
ものの、高値圏にある株価指数には押し目買いが入り、値固めを見せています。
とくに新規の材料性はなく、前営業日の利益確定売りの動きや高値推移の続く
欧州市場も振るわず、利益確定売りが株価指数の上値を抑える格好に。
ただ、量的緩和第3弾(QE3)の開始決定による相場の先高感から、押し目
買い意欲も高く、ダウ構成銘柄ではキャタピラー、マクドナルド、GEらが買
われるなど、堅調に推移しました。
ダウ平均株価は、前営業日比11.54ドル高の13,564.64ドル。
ナスダック総合指
数は0.87ポイント安の3,177.80ポイントで取引を終えています。
為替相場では、株式相場同様に利益確定目的の円買い圧力が見られたものの、
底堅さ確認の米国時間帯後半からは円安気味での推移に。
東京時間早朝では、
1ドル78円台後半、1ユーロ102円台後半の水準で取引されました。
東京株式市場では、前営業日後場の下落から米国市場の底堅さを好感した見直
し買いが先行。
日経平均株価は9166円の反発スタートに。
寄り付き後は、昼休みや後場にも明らかとなる日銀金融政策決定会合の政策結
果を見極めたいとの意識もあり、方向感を欠く展開。
日経平均株価は小幅高水
準でのもみあいに終始しました。
後場寄りでは前場の流れを引き継ぎ、日経平均株価は小幅高の立ち上がりとな
るも後場12時40分過ぎに日銀金融政策決定会合の政策結果で「金融緩和の強化」
が伝わると指数は急浮上。
一気に9200円台を奪回し、節目9300円目前まで上げ
幅を拡大したものの、利益確定売りを集めて失速しています。
日経平均株価終値は、108.44円高の9232.21円。
東証1部の売買代金は概算で1
兆3922億円。
東証1部の売買高は概算で20億7449万株。
値上がり銘柄は1096(
65%)に対し値下がりは411(24%)、変わらずは174(10%)となりました。
■■ 〜 本日の注目相場 〜 ■■
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後場の指数浮上とともに、追加金融緩和が追い風となるメガバンクの三井住友
FG<8316>、三菱UFJFG<8306>や証券業の野村ホールディングス<8604>、
関係性の深い住友不動産<8830>、三井不動産<8801>の不動産業の値上がりが目
立っています。
また、前営業日に中国反日デモの影響で売り込まれていたファーストリテイリ
ング<9983>、日産自動車<7201>、ホンダ<7267>、コマツ<6301>なども反発。
金
融緩和による円安推移とともにトヨタ<7203>、ソニー<6758>、キヤノン<7751>、
東芝<6502>、任天堂<7974>ら国際優良株も好調でした。
売買代金上位では、再上場を果たした日本航空<9201>が進出。
公開価格を上回
る初値形成の好スタートを切ったことで短期物色を集めています。
ネット関連
のディー・エヌ・エー<2432>、グリー<3632>なども値幅取り物色が見られまし
た。
セクターでは、大きく売り込まれていた商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の海
運が業種別株価指数騰落の値上がり最上位に。
デンソー<6902>、トヨタ<7203>
など輸送用機器、三菱電機<6503>、東芝<6502>の電気機器など中核銘柄が買わ
れています。
大和証券<8601>の証券業、所属全銘柄が上昇した保険業など金融関連業種が続
き、三井金属<5706>の非鉄、出光興産<5019>の石油製品など素材系業種も物色
されました。
一方、資源系最上流の国際石油開発帝石<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業が
軟調。
原油相場下落や円安推移が逆風となったほか、JR東日本<9020>の陸運、
ソフトバンク<9984>の情報通信など内需系銘柄には資金シフトの売りが出てい
ます。
個別では、増額のゼンリン<9474>、クスリのアオキ<3398>、決算のアスクル<2
678>などが材料視されましたが、場中に伝わった金融緩和の影響もあり、あま
り目立ちませんでした。
新興市場では、東証1部指定のリブセンス<6054>が大幅高。
中核のサイバーエ
ージェント<4751>、直近IPOのワイヤレスゲート<9419>、エイチーム<3662>、
エニグモ<3665>、モブキャスト<3664>、軽量級のピーエスシー<3649>なども短
期資金を集めています。
■■ 〜 本日の注目銘柄シューティング! 〜 ■■
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<8316>三井住友FG 2,603円 前日比+20円(+0.77%)
後場急伸。
後場に伝わった日銀金融政策決定会合の政策結果で「金融緩和の強
化」が伝わると買い気を強めている。
同業の三菱UFJFG<8306>や証券業の
野村ホールディングス<8604>、関係性の深い住友不動産<8830>、三井不動産<8
801>の不動産業も金融緩和発動を切っ掛けに買い進まれた。
<9983>ファーストリテイリング 18,050円 前日比+570円(+3.26%)
急反発。
前営業日には中国で広がる反日デモの影響を懸念した売りに押されて
いたが、中国当局の自制を促す方針やデモ活動の落ち着きとともに見直し買い
が入っている。
日経平均構成上位としても金融緩和の追い風を受けており、前
営業日に売られていた日産自動車<7201>、ホンダ<7267>、コマツ<6301>なども
見直された。
<9201>日本航空 3,830円 公開価格3,790円 初値3,810円
大商い。
この日に東証1部へ再上場、値幅取りを狙った目先筋の売買を集め、
全市場の売買代金最上位となっている。
初値は公開価格3,790円を上回る3,810
円の好スタートを切ったことも短期物色につながったようだ。
外資系調査機関
を中心に5,000円以上の目標株価を設定する向きもあり、今後の値動きも注目さ
れている。