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2010年12月10日金曜日

【生活マネー ミニ講座No.1710】野村米国ハイ・イールド債(通貨選択型)ブラジルレアルコース

 生活マネー ミニ講座:No.1,710(2010.12.10)

 ◆野村米国ハイ・イールド債(通貨選択型)ブラジルレアルコース



 FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の
中村宏です。

 いま、大人気の投資信託。

 昨年1月に設定され、通貨選択型人気の火付け役といってもいいかもしれ
ません。

 何せ分配金が高い。

 ここ半年は、毎月、1万口あたり250円。基準価額が12,200円くらいなので、
分配金利回りは税込で25%あまりになります。
(250円×12ヶ月÷12,000×100)

 100万円を投資すると1年で25万円受け取れる計算です。

 この儲かる仕組みを簡単に説明すると・・・・

 私たちが支払う投資資金の円で、ブラジルレアルを購入します。
 このとき、為替ヘッジはかけられません。

 次に、ブラジルレアルで米ドルを購入します。
 このときには、為替ヘッジがかけられます。

 ブラジルの金利は現在10.75%。いっぽう、アメリカは0.25%です。

 昨日触れたように、金利の高い通貨から低い通貨に為替ヘッジをかける場
合、金利差分のヘッジプレミアム(利益)が生じます。

 差は10%以上あります。かなり高いですね。

 米ドルでは、米国のハイ・イールド債が購入されます。

 ハイ・イールド債とは、格付けの低い債券のこと。
 つまり信用力のあやしい債券。その分利回りが高く設定されています。

 もちろん、1種類だけではなく、たくさんの銘柄の債券に同時に投資する
ことで、リスク分散を図っています。

 米国ハイ・イールド債の利回りは、今年8月時点で7.5%くらい。
 とても高い金利収入を得ることができる債券なのです。

 ということで、収益の元は、為替ヘッジプレミアム10%超とハイ・イール
ド債の利回り7.5%。合計すると17.5%超になります。


 いっぽうで、リスクはというと・・・

 まず、円とブラジルレアルの為替変動リスクがあります。
 この通貨間ではヘッジがかけられていませんから。

 円とレアルの過去5年間の為替のブレ幅は、24%くらい。豪ドルと同じく
らいです。

 次に、為替ヘッジプレミアムの変動リスクです。
 ブラジルの景気が悪化して金利が下がったり、アメリカの景気がよくなっ
て金利が上がると、2つの通貨間の金利差が縮まります。

 金利差がなくなるとヘッジプレミアムもなくなり、いま年10%近くもある
収益の元がなくなります。
 もっというと、アメリカの金利がブラジルの金利よりも高くなれば、プレ
ミアムは逆にコストとなり、収益にはマイナスの影響を与えます。

 さらには、ハイ・イールド債の信用リスクがあります。
 元々、信用力が低いおかげで7.5%もの高利回りなのですが、破たんする
銘柄がたくさん出ると、金利収入を相殺して、マイナスになる可能性もあり
ます。

 どのような経済情勢になっても、国と国との景気動向の差や金利差、為替
差などをうまく利用して「儲かる投資信託」が出てきます。

 しかし、グローバルな世の中、いずれは、差が縮まる方向に動いていきま
す。

 ブームの終わりころに乗っかると、損失だけが待ち受けていますので、重
々気を付けてください。

 波にうまく乗るには、いきなり高い波に乗っかるのではなく、いずれ高く
なりそうな波を見つけて、低いうちから乗っておくことです。

 ただ、その見極めはとても難しい。




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