◆野村米国ハイ・イールド債(通貨選択型)ブラジルレアルコース
FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の
中村宏です。
いま、大人気の投資信託。
昨年1月に設定され、通貨選択型人気の火付け役といってもいいかもしれ
ません。
何せ分配金が高い。
ここ半年は、毎月、1万口あたり250円。基準価額が12,200円くらいなので、
分配金利回りは税込で25%あまりになります。
(250円×12ヶ月÷12,000×100)
100万円を投資すると1年で25万円受け取れる計算です。
この儲かる仕組みを簡単に説明すると・・・・
私たちが支払う投資資金の円で、ブラジルレアルを購入します。
このとき、為替ヘッジはかけられません。
次に、ブラジルレアルで米ドルを購入します。
このときには、為替ヘッジがかけられます。
ブラジルの金利は現在10.75%。いっぽう、アメリカは0.25%です。
昨日触れたように、金利の高い通貨から低い通貨に為替ヘッジをかける場
合、金利差分のヘッジプレミアム(利益)が生じます。
差は10%以上あります。かなり高いですね。
米ドルでは、米国のハイ・イールド債が購入されます。
ハイ・イールド債とは、格付けの低い債券のこと。
つまり信用力のあやしい債券。その分利回りが高く設定されています。
もちろん、1種類だけではなく、たくさんの銘柄の債券に同時に投資する
ことで、リスク分散を図っています。
米国ハイ・イールド債の利回りは、今年8月時点で7.5%くらい。
とても高い金利収入を得ることができる債券なのです。
ということで、収益の元は、為替ヘッジプレミアム10%超とハイ・イール
ド債の利回り7.5%。合計すると17.5%超になります。
いっぽうで、リスクはというと・・・
まず、円とブラジルレアルの為替変動リスクがあります。
この通貨間ではヘッジがかけられていませんから。
円とレアルの過去5年間の為替のブレ幅は、24%くらい。豪ドルと同じく
らいです。
次に、為替ヘッジプレミアムの変動リスクです。
ブラジルの景気が悪化して金利が下がったり、アメリカの景気がよくなっ
て金利が上がると、2つの通貨間の金利差が縮まります。
金利差がなくなるとヘッジプレミアムもなくなり、いま年10%近くもある
収益の元がなくなります。
もっというと、アメリカの金利がブラジルの金利よりも高くなれば、プレ
ミアムは逆にコストとなり、収益にはマイナスの影響を与えます。
さらには、ハイ・イールド債の信用リスクがあります。
元々、信用力が低いおかげで7.5%もの高利回りなのですが、破たんする
銘柄がたくさん出ると、金利収入を相殺して、マイナスになる可能性もあり
ます。
どのような経済情勢になっても、国と国との景気動向の差や金利差、為替
差などをうまく利用して「儲かる投資信託」が出てきます。
しかし、グローバルな世の中、いずれは、差が縮まる方向に動いていきま
す。
ブームの終わりころに乗っかると、損失だけが待ち受けていますので、重
々気を付けてください。
波にうまく乗るには、いきなり高い波に乗っかるのではなく、いずれ高く
なりそうな波を見つけて、低いうちから乗っておくことです。
ただ、その見極めはとても難しい。
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