■創る者と作る者の間
日本企業はモノづくりの力で世界に冠たる地位を占めてきました。異論のある方は少ないと思います。
残念ですが、一方でここ数年、モノづくりの力を源とする日本企業の強さに異変が生じている点に異論のある方も少ないでしょう。
原因はどこにあるのでしょうか。
この難問に迫る連載を日経ビジネスオンラインで掲載しています。
一つは、「EMSの雄、フォックスコンは永遠か?」と題した連載です。
米アップルのiPhoneなどの製造を引き受けることで知られる、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社でEMS(電子機器の受託製造サービス)を手がけるフォックスコン(富士康科技集団)について取り上げたものです。
同連載には「日本の電子産業が衰退している理由は、じっくりと基礎技術を育てることができても、それを事業化するために投資する決断が素早くできないからだろう」という箇所があります。
MOT(技術経営)に詳しい東京理科大学大学院イノベーション研究科教授の田中芳夫さんによる連載「田中芳夫の技術と経営の接点・視点」も、この問題に関係するものです。
「日本品質なら売れるという発想を捨てよ 『ものづくり』から『もの・ことづくり』へ変わろう」と題した第1回目の記事には「技術者から経営者、学識経験者にいたるまで、『匠の技』といった究極の技術ばかり追求し、自分たちが考える範囲での『良いもの』を作るものづくりだけを追求するという、ただ一つの価値観に捕われている」という一節があります。
どちらも示唆に富むところが多いのではないでしょうか。
ホンハイは経営危機に陥ったシャープとの提携でも注目を集めている企業です。
ホンハイがシャープへの出資を決めた理由には、液晶関連の技術の取得があると言われています。
ものを作ることで成長してきたホンハイが、これからの成長には革新的な技術を取り込むことが不可欠だと考えたとは言えないでしょうか。
一方のシャープは、ホンハイが欲しがるような液晶関連で革新的な技術を持ちながら、自社生産にこだわった結果、経営危機に陥ったと見ることができます。
イノベーションを起こす「創る者」と実際にモノを製造する「作る者」の関係について、改めて考えるべき時期が来ているのかもしれません。
(中村建助、IT・イノベーション担当)ソフトバンクが総額1兆5700億円で米携帯電話3位の買収を決めた。
共同調達などで相乗効果を狙うが、日本とは異なる規制が同社の戦略に影を落とす。
米国特有の政治リスクへの対処が、巨額買収の成否を分けそうだ。
【ITで拓く 経営イノベーション新手法】「検査スタッフの人数を最適化しましょう」ITを駆使した意外な提案で11期連続増収増益のシスメックスhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121011/237939/血液中の赤血球や白血球の数を測定する血球計数測定装置で世界シェア約40
%を誇る医療検査機器大手のシスメックスは、機器とIT(情報技術)を効果的に連携させることで新規顧客の獲得と業績拡大に結びつけている。
【田中芳夫の技術と経営の接点・視点】日本品質なら売れるという発想を捨てよ「ものづくり」から「もの・ことづくり」へ変わろう(第1回)http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121018/238229/日本のものづくり産業は今後
「ことづくり」に向かうべきである。
ことづくりとは、生み出したものによってでき上がる新たな生活や社会の様子まで、つくりあげていくことを指す。
この新たなものづくりを「もの・ことづくり」と呼んでいる。
【FINANCIAL TIMES】アップル、脱ジョブズの試練http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20121003/237603/アップルが新発売の
「iPhone」で生じた不具合に対し謝罪した。
ジョブズ時代とは大違い。
クックCEOの下、アップルは配当再開や投資家への説明で、新たな展開を見せ始めている。
だが問題は、今や大企業に成長したアップルが今後も革新性を持ち続けられるかどうかだ。
【EMSの雄、フォックスコンは永遠か?】EMS産業の発展は北米系企業が牽引したモノづくり力が優れてなくても受託できた理由http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121012/238000/最近
、フォックスコンというEMS企業、その親会社である台湾の鴻海精密工業に関するニュースがしばしば登場する。
同社がいつごろから、そしてどのようにEMS産業の巨人に成長したのか。
まず、EMS産業はどのように発展してきたのかを解説する。
■新着記事から
【田中芳夫の技術と経営の接点・視点】日本品質なら売れるという発想を捨てよ「ものづくり」から「もの・ことづくり」へ変わろう(第1回)http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121018/238229/【記者の眼】ベンチャーの成長を妨げる情報不足http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121010/237909/
【ITで拓く 経営イノベーション新手法】損保ジャパンと日本興亜損保が「ドライブレコーダー」など安全運転支援のスマホ用アプリを無料提供http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121002/237550/
【時事深層「鳶に油揚げ」のイーアク買収http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121005/237725/
【「売る」と「売れる」 境界線のコミュニケーション力】フェイスブックも嘘ばかり皆さん、ウソを見抜く能力が低下していない?http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121015/238081/
【時事深層】ソニー「4K」、敵は東芝http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121016/238112/
【EMSの雄、フォックスコンは永遠か?】EMS産業の発展は北米系企業が牽引したモノづくり力が優れてなくても受託できた理由http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121012/238000/
2位 【スマートシティ リアルビジネスの胎動】 藻類の超高速増殖で日本が産油国になる? http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121010/237924/3位
【"量産型"の逆襲】 前年比の発想では"ザク"は生まれない http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121016/238111/4位
【60歳と30歳で会社をつくる】 「えっ、私が自分で会社を立ち上げるんですか?」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121012/238006/5位
【"量産型"の逆襲】 「ここで生き残る」。
ザクとうふの相模屋2003年の決断 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121005/237723/