2013年9月3日火曜日
証券ディーラー「プロの視点」(9/3)
■■ 〜 明日の株新聞 〜 ■■米国市場休場も欧州市場が上昇、為替相場も円安に振れるなか、連日で買い優勢の展開となった株式相場ですが、目先にイベントが控えるなかでも買い気を保ったあたりはボリューム回復効果も働いており、中核銘柄だけでなく、値動きの良い低位株の活躍も確認されています。日経平均株価は大幅続伸。デッドクロスを形成していた25日移動平均線(13728.25円)、75日移動平均線(13825.40円)を一気に奪回しました。さらに週足ベースでも26週移動平均線(13669.63円)、13週移動平均線(13837.64円)に乗り直してきています。もう一方の株価指数でもあるTOPIXも25日移動平均線(1143.91ポイント)、75日移動平均線(1147.57ポイント円)を奪回。当欄でも日経平均株価に対して出遅れを指摘していたTOPIXのチャート好転も買い気につながったのではないでしょうか。ただ、今晩には祝日休場明けとなる米国市場、ISM製造業景況指数の発表が控えています。目先にもベージュブック公開に日銀金融政策決定会合、ECB理事会の金融政策イベント、後半にG20。金曜日発表の重要指標・米雇用統計に向けてADP雇用統計に新規失業保険申請件数と指標発表が続くことから、このところ好転の続く外部要因が軟化する可能性も考慮しておきたいところ。それでも好調要因としては、東証1部の売買代金は概算で1兆9000億円台と2兆円の大台に迫り、売買高も概算で24億2722万株と復調。長期休暇に入っていた市場参加者の多くが戻ってきていることを示すものではないでしょうか。そこで前営業日配信版でも「物色は低位優位に 活躍銘柄を選び抜け!」と題して、取引ボリューム回復が強い追い風となる低位株を物色対象とする見方を示していました。本日では、先週8月28日前引け後配信の電話会員情報で買い推奨していたIHI<7013>、先週8月27日のインターネット会員B情報で買い推奨していたエンシュウ<6218>、先週8月30日のインターネット会員A情報で買い推奨していたシー・ヴイ・エス・ベイエリア<2687>が目標株価を達成しています。1000株単位で400円台のIHI<7013>、100円台のエンシュウ<6218>、200円台に乗せたシー・ヴイ・エス・ベイエリア<2687>などいずれも低位に置かれている銘柄。発行株数は多めですが、含み資産関連や五輪関連のテーマ性も備えており、ディーリング対象となれば値幅取りを狙った資金流入が期待できる物色対象でした。ただ、闇雲に低位株を手掛けても万年低位株を掴むことも多く、銘柄の見極めが肝心。低位株の取捨選択には、専門的に銘柄分析を行なっているアナリストの銘柄選定や銘柄診断を参考にしてみてください。■■ 〜 今日の東京市場から 〜 ■■昨晩の米国市場はレイバーデイの祝日のため、株式、債券など金融市場は休場となっています。代わって注目された欧州市場では、中国経済指標を好感した買いが優勢。ギリシャを除く17カ国で主要株価指数が上昇しました。また、前営業日に上昇が確認されていたアジア市場では、香港、中国本土市場が好調に推移したほか、インドネシア市場が貿易赤字拡大で下げたものの、インド市場は堅調に推移しており、概ね堅調に推移しています。為替相場では、シリア情勢への懸念が後退したほか、中国や欧州の景気回復期待を背景にリスク選好の動きが強まり、円売りが優勢。東京時間帯早朝では、1ドル99円台半ば、1ユーロ131円台前半の円安水準で取引されています。東京株式市場では、米国市場休場も欧州市場の上昇、為替相場の円安推移を好感した買いが優勢。日経平均株価は13748円の大幅続伸スタートに。寄り付き後は、日経平均株価が節目13800円を奪回したあとも上値を追う動き。節目13900円攻防が見られたあと、円買いが高まったものの、目立った売り圧力はなく、高値推移が続きました。前場後半から昼休みに円買い圧力が見られたものの、日経平均株価の伸び悩みにつながらず、後場も上値志向が高まる格好。大台14000円を窺う流れとなっています。日経平均株価終値は、405.52円高の13,978.44円。東証1部の売買代金は概算で1兆9565億円。東証1部の売買高は概算で24億2722万株。値上がり銘柄は1629(92%)に対し値下がりは88(5%)、変わらずは34(1%)となりました。■■ 〜 本日の注目相場 〜 ■■指数大幅続伸でトヨタ<7203>、ソニー<6758>ら国際優良株、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクなど中核銘柄が揃って上昇。日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>の上昇も目立っています。値動きの良いマツダ<7261>、富士重工業<7270>が強く、証券の野村ホールディングス<8604>なども活況高。三菱地所<8802>、住友不動産<8830>の不動産、KDDI<9433>、三菱重工業<7011>、新日鐵住金<5401>ら大型株が買われました。全市場の売買代金上位には東京電力<9501>が進出。好材料で買い進まれたほか、新興軽量級のガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>なども好調。一方で前営業日に賑わっていた低位金融のアイフル<8515>、不動産関連のケネディクス<4321>などは売られています。セクターでは、業種別株価指数騰落の全業種が上昇。野村ホールディングス<8604>、大和証券<8601>の証券、所属全銘柄が上昇したゴム製品、三菱倉庫<9301>、三井倉庫<9302>の倉庫運輸らが値上がり上位に並びました。三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>の銀行、所属全銘柄が上昇した海運、オリックス<8591>、日本取引所グループ<8697>のその他金融なども続いています。一方、マルハニチロホールディングス<1334>の水産農林、日本航空<9201>の空運、前営業日に上昇していた大成建設<1801>、鹿島<1812>、清水建設<1803>の建設らが値上がり下位となりました。個別では、有識者会合で大飯原子力発電所の敷地内にある破砕帯が活断層ではないとの認識された関西電力<9503>、増額のピジョン<7956>、格上げのミスミグループ本社<9962>、日本郵船<9101>、好業績観測のシーイーシー<9692>らが材料人気を集めています。新興市場では、全市場の売買代金上位にも進出したガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が切り返し、コロプラ<3668>、デジタルガレージ<4819>、クルーズ<2138>なども好調に推移。スリー・ディー・マトリックス<7777>、モルフォ<3653>、ユーグレナ<2931>なども物色されました。■■ 〜 本日の注目銘柄シューティング! 〜 ■■<9501>東京電力 525円 前日比+17円(+3.35%)大幅続伸。政府が福島第1原子力発電所の汚染水漏洩に対処するための基本方針と総合的対策を決定し、国費400億円位上を投じると報じられたことが買い材料視されている。また、関西電力<9503>も有識者会合で大飯原子力発電所の敷地内にある破砕帯について、活断層ではないとの認識が共有されるなど、電力株に好材料が相次いだ。<8515>アイフル 954円 前日比−9円(−0.93%)反落。前営業日に消費者金融の融資残高増加見通しで買われた流れから、利益確定売りに押されている。同じくディーリング対象として賑わっていたオリコ<8585>、アプラスフィナンシャル<8589>などの反応も鈍く、不動産関連のケネディクス<4321>も鈍い動きとなった。<9983>ファーストリテイリング 34,050円 前日比+1,300円(+3.97%)大幅高。引け後発表のユニクロ事業の月次成績を先回りする向きや日経平均株価構成比率上位として、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>とともに先物浮上に付く格好。円安推移でトヨタ<7203>、ソニー<6758>ら国際優良株が強く、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクなども賑わうなど、株価指数を押し上げている。◇…