2013年8月30日金曜日
証券ディーラー「プロの視点」(8/30)
■■ 〜 明日の株新聞 〜 ■■外部要因改善とともに買いが先行するも、窓埋め完了からの戻り売り圧力もあり、場中の円高推移とともに売り直された本日の株式相場ですが、株価指数には下値抵抗が見られたものの、東証1部の値下がり銘柄数は8割に迫るなど、多くの銘柄が調整を余儀なくされています。日経平均株価は反落。買い先行の立ち上がりで節目13600円乗せを見たものの、27日から28日の急落で形成した窓埋めを完了、海外時間帯からの円安推移も東京時間帯からは円買い圧力が強まり、売り直されました。ただ、後場からは節目13400円での攻防が見られるなど、下値抵抗が確認されましたが、ローソク足は陰線転換、5日移動平均線(13473.13円)を割り込んでいます。指数反発の見られた前営業日にも「日経平均株価、TOPIXともに5日移動平均線割れが継続。反転継続にはさらなる外部要因の進展が待たれるところ」と記していましたが、米国市場伸び悩み、為替相場も東京時間帯から円買い圧力が高まるなど、結果的には外部要因の進展も限られました。日経平均株価の水準として「ここからの上値では、5日移動平均線が控える節目13500円近辺。さらに25日移動平均線との位置関係が注目されそう。下値では日中で攻防の見られた節目13400円から前営業日安値圏の13200円処でしょうか」と指摘。終値での5日移動平均線奪回はならなかったものの、前営業日に攻防の見られた13400円の節目意識で水準は保った格好でしょうか。ただ、もう一方の株価指数でもあるTOPIXでは、前営業日にも0.9%近くの上昇率となった日経平均株価に対し、TOPIXの上昇率は0.2%台にとどまるなど鈍い動きとなっていましたが、本日も日経平均株価の下落率が0.5%台となったのに対して、0.9%の下落率となるなど、東証1部で8割近い銘柄が下落する状況を反映しています。TOPIXの日中安値は1104.77ポイント。シリア情勢が緊迫化した28日の安値1103.94ポイントまでには至らず、後場でも一定の下値抵抗が見られましたが、当時よりシリア情勢は緩和するなかでも安値接近が見られるここは下抜けを警戒していきたいところ。また、日経平均株価の週足ベースでも「26週移動平均線を割り込んで引けるかも焦点。上方からは13週移動平均線が切り下げてきており、来週以降にはデッドクロス形成の可能性も高まってくるかもしれません」としましたが、朝高も26週移動平均線(10604.44円)奪回のチャンスを逃しており、チャート軟化は否めない状況でしょう。さらに来週は、月曜日に米国市場がレイバーデイの祝日休場となります。週末三連休直前となる今晩の米国市場の反応が注目されるほか、週明けは中国経済指標に週央の日銀金融政策決定会合、後半にG20に米雇用統計とイベントが目白押し。波乱発生を警戒しながら、外部要因に振らされる展開が続くのではないでしょうか。さて、前営業日配信版では「新興市場銘柄の活躍続く! 上値余地も保有継続の参考に」と題していました。当欄で目標株価達成を紹介していたガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>、イリソ電子工業<6908>などは地合いを問わずに堅調な値動き。日経平均株価、TOPIXの東証1部指数が下落するなか、マザーズ、ジャスダックの新興市場指数は上昇着地となるなど、外部要因に左右されにくい新興市場は好調に推移しています。週明けは今晩の米国市場の変化を反映したあと、当日の米国市場は休場となるため、基本線では値動きの良い新興市場が選好される流れは続きそう。ただ、来週は月替りとなりますし、米国市場休場後には長期休暇に入っていた市場参加者の多くが戻ってくるのではないでしょうか。全体の取引ボリュームが回復していけば、新興市場銘柄よりも数量効果の高い低位株のほうが有利でしょう。値上がり率ランキングや出来高急増ランキングなどに注目し、動意付いた低位株をチェックしておきましょう。■■ 〜 今日の東京市場から 〜 ■■昨晩の米国市場は続伸。GDP改定値の上方修正、失業保険申請の減少が好感されたほか、シリア情勢が緩和したことも支援材料となっています。米商務省が発表した第2四半期の実質GDP改定値は前期比2.5%増となり、速報値の1.7%増から上方修正。上方修正を見込んでいた市場予想の2.2%増をも上回る好内容に。また、米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数も33万1000件と前週の33万7000件から減少。市場予想の33万2000件をも下回っており、良好な経済指標が買い材料視されました。このところ売り材料視されていたシリア情勢でも英国とフランスが国連調査団の報告を待ってから、シリアへの軍事行動の是非を決定する意向を示したため、軍事介入観測が後退するなど、緊張緩和も支援材料となっています。ダウ平均株価は、前営業日比16.44ドル高の14,840.95ドル。ナスダック総合指数は26.95ポイント高の3,620.30ポイントで取引を終えました。為替相場では、経済指標好感のドル買いが優勢。東京時間帯早朝では、1ドル98円台前半、1ユーロ130円台前半のドル高水準で取引されています。東京株式市場では、米国株続伸、為替相場の円安推移を好感した買いが先行。日経平均株価は13573円の続伸スタートに。寄り付き後は、日経平均株価の5日移動平均線奪回とともに上値を目指し、節目13600円台に乗せる場面があったものの、消費税増税に絡んだ要人発言を切っ掛けに円高に振れたことで売り直される格好。5日移動平均線を割り込み、マイナス圏に沈みました。昼休み中の円安推移で後場寄りは買われるなど、下値も限られる状況。日経平均株価の節目13400円の攻防が続いています。日経平均株価終値は、70.85円安の13,388.86円。東証1部の売買代金は概算で1兆9703億円。東証1部の売買高は概算で22億2070万株。値上がり銘柄は277(15%)に対し値下がりは1393(79%)、変わらずは83(4%)となりました。■■ 〜 本日の注目相場 〜 ■■指数反落も買い先行で立ち上がり、小安い水準でのもみあいとなったことで、中核銘柄のトヨタ<7203>、ソニー<6758>ら国際優良株、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクなど中核銘柄らの下げ幅も限定的。日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>の上昇も下支えしています。全市場の売買代金上位には東京電力<9501>が進出。短期売買が集まったほか、新興軽量級のガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>なども堅調に推移しました。また、配当実施発表のパナソニック<6752>が物色されたほか、値動きの良いマツダ<7261>、富士重工業<7270>、いすゞ<7202>なども底堅い動きとなっています。セクターでは、日本郵船<9101>、川崎汽船<9107>の海運が業種別株価指数騰落の値上がり最上位に。シリア情勢の緩和が買い材料視されました。ただ、指数値上がりは海運と関西電力<9503>、中国電力<9504>の電気ガス、ブリヂストン<5108>、バンドー化学<5195>のゴム製品の3業種に限られています。一方、所属全銘柄が下落した紙パルプ、鉱業、任天堂<7974>擁するその他製品、住友鉱山<5713>、DOWAホールディングス<5714>の非鉄などが値下がり業種となりました。個別では、業績見通しを明らかにした北海道電力<9509>、好業績観測のSUMCO<3436>、新規カバレッジのエイチ・アイ・エス<9603>などが材料物色を集めています。新興市場では、全市場の売買代金上位にも進出したガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が続伸。サイバーエージェント<4751>、オプト<2389>、オークファン<3674>、コロプラ<3668>など中核銘柄が買われました。■■ 〜 本日の注目銘柄シューティング! 〜 ■■<6752>パナソニック 894円 前日比+21円(+2.41%)反発。前営業日引け後に9月末を基準日とする中間期の配当予想を1株当たり5円にすると発表しており、これを好感した買いを集めている。前年同期は無配、事前想定でも未定としていたことから、株主還元姿勢がそのまま評価につながったようだ。<3765>ガンホー・オンライン・エンターテイメント 66,900円 前日比+2,700円(+4.21%)続伸。値動きの軽さに着目した短期売買が膨らんでおり、今日も全市場の売買代金上位に入っている。下値切り上げとともに25日移動平均線に迫ってきており、7月に上値抵抗となった経緯から、同線との攻防が意識した買いも入っているようだ。また、会社ホームページでカウントダウンサイトが登場しており、思惑売買も集めている。<7974>任天堂 11,120円 前日比−720円(−6.08%)大幅続落。前営業日に伝わった据置型「WII U」の海外値下げ、そして「ニンテンドー3DS」から3D機能などを省いた廉価版「ニンテンドー2DS」の海外発売を発表したものの、採算低下懸念で売られた流れが続いている。海外市場でもネガティブな見方が強まったようだ。◇…