2013年8月19日月曜日
証券ディーラー「プロの視点」(8/19)
■■ 〜 明日の株新聞 〜 ■■米国株安も円安推移を支援材料に見直しが進んだ本日の株式相場ですが、株価指数は前営業日にも見られた戻り売りが上値を抑えたものの、下値切り上げで高値引けとなるなど反転期待が高まるもボリュームは依然低調。物色も値動き選好の流れが続いています。日経平均株価は反発。前述の通りに一旦戻り売りに押される場面が見られたものの、下値切り上げで切り返すと、節目13700円台乗せで高値引けとなりました。ローソク足は連日の陽線、5日移動平均線(13815.66円)に迫っています。さて、前営業日配信版では「為替相場、指数のチャートを要確認 物色はより値動き重視か」と題していましたが、前営業日の調整要因は円高進展でしたし、円高一服の見られた本日は見直し買いが優勢となるなど、依然として為替相場を睨んだ展開が続きました。日経平均株価のチャートも「基準となる先週算出のSQ値13640.03円を中心に上値で5日移動平均線から大台14000円、75日移動平均線、下値では12日安値13519.43円がポイントなります。ボリンジャーバンド−1σ(13753.15円)からボリンジャーバンド−2σ(13342.57円)のチャート情報も確認していきましょう」ともしましたが、ひとまず好転を見せています。このまま上値では、5日移動平均線(13815.66円)から大台14000円、75日移動平均線(13990.32円)、下値も12日安値13519.43円との位置関係に引き続き注目。今月はこれで6回目の高値引けとなりましたが、うち3回は翌営業日に売り直されており、為替相場の推移に一喜一憂するなか、現時点で方向性を決めつけないほうが良いでしょう。また、ボリュームも東証1部の売買代金が概算で1兆2000億円台。売買高も概算で14億株台と依然低調。まだ夏休み期間の市場参加者も多く、今後のボリューム回復とともに新たな流れが生まれてくる可能性もあります。さて、物色傾向としては前述の通りにディーリング対象など値動きの軽い銘柄が選好される展開となりました。新興所属銘柄の目標株価達成を紹介しつつ「決算発表後も物色継続が見込まれる評価余地のある銘柄を探っていくと同時に、値動きの軽さも物色の参考にしていきましょう」とも記していたと思います。本日では、8月14日のインターネット会員A情報で買い推奨していたイーブックイニシアティブジャパン<3658>が目標株価を達成。同社株はマザーズ所属ですが、マザーズ指数は本日3%超の上昇率と他の主要株価指数に比べて値上がり率が目立ちました。ボリューム低調な「省エネ相場」のなかでは、値動きの良い新興市場銘柄は狙い目となりそうです。■■ 〜 今日の東京市場から 〜 ■■先週末の米国市場は下落。さえない経済指標や米10年債利回りが2年ぶりの高水準に上昇したことに反応して、高配当銘柄を中心に売られています。米商務省が発表した7月の住宅着工件数は89万6000戸となり、前月から5.9%増加したものの、市場予想の90万戸を下回る結果に。8月のミシガン大学消費者信頼感指数は80ポイントとなり、前月の85.1ポイントから低下したほか、市場予想の85.2ポイントをも下回る内容となるなど、さえない経済指標が売り材料視されました。また、債券市場で米10年債利回りが2.86%と2011年7月以来、2年ぶりの高水準となるなど、利回り選好の資金が債券を選好。高配当銘柄には資金シフトの売りが出ています。ダウ平均株価は、前営業日比30.72ドル安の15,081.47ドル。ナスダック総合指数は3.34ポイント安の3,602.78ポイントで取引を終えました。為替相場では、米国時間帯でドルが底堅い動き。東京時間帯早朝では、1ドル97円台半ば、1ユーロ130円台前半の円安水準で取引されています。東京株式市場では、米国市場が下落するも為替相場の円安推移を好感した買いが先行。日経平均株価は13669円の反発スタートに。寄り付き後は、前営業日にも確認されていた戻り売り圧力もあり、日経平均株価が買い先行も前場中頃からマイナス圏に沈んでいたものの、前引け前には円安推移とともに切り返しました。後場の日経平均株価もプラス圏での推移に。節目13700円との攻防となり、一旦跳ね返されるも大引け前には買い気を強め、高値引けとなっています。日経平均株価終値は、108.02円高の13,758.13円。東証1部の売買代金は概算で1兆2566億円。東証1部の売買高は概算で14億4356万株。値上がり銘柄は1101(62%)に対し値下がりは493(28%)、変わらずは156(8%)となりました。■■ 〜 本日の注目相場 〜 ■■指数堅調展開も中核銘柄ではソニー<6758>、トヨタ<7203>ら国際優良株、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>などメガバンクの反応は鈍く、日経平均株価構成比率上位のソフトバンク<9984>、ファーストリテイリング<9983>などは底堅く推移しています。ディーリング対象となっていたソーシャルゲーム関連のディー・エヌ・エー<2432>、不動産関連のケネディクス<4321>、外需関連のマツダ<7261>なども振るわず。悪材料の伝わった東京電力<9501>の下げも目立ちました。一方、新興市場所属のモブキャスト<3664>、アドウェイズ<2489>が好調。ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>、リプロセル<4978>なども賑わい、東証1部の短期売買対象から資金シフトを取り込んでいます。セクターでは、JXホールディングス<5020>、出光興産<5019>の石油製品、王子ホールディングス<3861>、日本製紙<3863>の紙パルプ、大成建設<1801>、大林組<1802>の建設などが業種別株価指数騰落の値上がり上位に並びました。SUMCO<3436>、横河ブリッジ<5911>の金属製品、任天堂<7974>、ピジョン<7956>のその他製品、ソフトバンク<9984>、エイベックス<7860>の情報通信などが続いています。一方、ANA<9202>、JAL<9201>の空運、東京電力<9501>の電気ガス、新日鐵住金<5401>、JFEホールディングス<5411>の鉄鋼などが値下がり上位となりました。個別では、羽田空港開発で空港施設<8864>、日本空港ビルデング<9706>などが好調。航空機エンジン世界大手の英ロールス・ロイスと新型エンジンを開発すると伝わった川崎重工業<7012>なども個別物色を集めています。新興市場では、全市場の売買代金上位に入った新興軽量級物色とともにデジタルガレージ<4819>、楽天<4755>、ナノキャリア<4571>、サイバーエージェント<4751>など中核銘柄が好調。DDS<3782>、ネットイヤーグループ<3622>、イマジニア<4644>なども買い進まれました。■■ 〜 本日の注目銘柄シューティング! 〜 ■■<9501>東京電力 622円 前日比−23円(−3.57%)続落。週末に予定していた福島第一原子力発電所で汚染水くみ上げによるすべてのウェルポイント(バキュームによる強制的な揚水設備)設置作業が、掘削機器の故障により遅れる見込みと伝えたほか、今日にも同原発の免震重要棟前の連続ダストモニタで放射能警報が発生したと伝わるなど、原発事故に絡んだネガティブ材料が相次いで伝わっており、見切り売りを集めている。<3664>モブキャスト 2,489円 前日比+249円(+11.12%)急反発。13日に伝えたオランダ企業との提携で欧州とブラジルで自社サッカーゲームを配信するとの材料性が継続視されており、株価指数に方向感を欠くなか、値動きの軽さに着目した資金流入が確認されている。前営業日に物色されていた不動産関連のケネディクス<4321>、証券のSBIホールディングス<8473>などが売られるなど、ディーリング対象での資金シフトも見られた。<2489>アドウェイズ 383,000円 前日比+64,000円(+20.06%)大幅反発。スマートフォン利用時間調査で同社と関係性の深いLINEの優位が報じられたことが買い材料視されている。先週後半より東証1部指数よりも新興市場指数の活躍が目立っており、値動きが良い同社株や新興軽量級が選好される流れとなっている。◇…