■明日の株新聞
米国市場の上昇、為替相場の円安推移と外部要因の改善を追い風に、前日に続いて戻りを試した本日の株式相場ですが、大きく売り込まれていたソフトバンク<9984>、メガバンクや海運なども見直されるなど、さらなる相場の落ち着きが確認されています。日経平均株価は続伸。
寄り付きから5日移動平均線(8591.27円)や節目8600円を奪回すると、場中の円安推移とともに上値を伸ばし、終値では節目8700円に乗り直してきました。
日経平均株価に関しては、昨日にも「キープライス下抜けにも下値耐性を見せた辺りは相場の底堅さを感じさせます」や「下値耐性を見せて陽線転換、このまま下値を固めると、5日移動平均線奪回も期待できるのではないでしょうか」と見ていたように、外部要因改善を追い風として受けながら、順調に水準を切り上げてきています。
そこで前営業日配信版では「明日は外部要因の変化、株価指数の5日移動平均線攻防を見極めながら、このまま中期スタンスで外需関連株の打診買い、短期スタンスでのディーリングと両面戦略で臨みましょう」として「外需関連の打診買い 短期ディーリングの両面戦略が効く」と題していました。
外部要因の改善を確認したことで、昨日にも目標株価達成を紹介していたTPR<6463>は引き続き水準を切り上げる動き。
さらに10月12日のインターネット会員A情報で買い推奨していたジェイアイエヌ<3046>、15日のインターネット会員A情報で買い推奨していたテクノメディカ<6678>がそれぞれ目標株価を達成するなど、今後海外戦略を強めていく企業が活躍。
当欄で紹介していた「外需関連の打診買い」が功を奏しています。
また、一方の「短期スタンスでのディーリング」でも当欄で実績銘柄として挙げていたバイオ関連のタカラバイオ<4974>が連騰。
全体観から離れた位置にあるバイオ関連のテーマ物色も継続しており、短期資金の循環も確認されています。
ただ、株価指数の出直りに関しては、外部要因の改善が主体ですし、今後決算シーズンが本格化していく米国市場の活躍も続くかどうかは不透明。
昨晩では小売指標の改善や金融大手シティグループの決算が好感されましたが、今晩発表予定のインテルなどは前回業績開示の7月に売上予測の下方修正を実施して時間外で下落した経緯があるだけに、このまま安易に外部要因の改善が続くと決めつけないほうが良いのではないでしょうか。
そこで投資戦略としては、中期スタンスで外需関連株の打診買い、短期スタンスでのディーリングの両面戦略を紹介していました。
現状では騰がって強気、下がって弱気にならず、リスク分散を図りつつ、地合い変化に応じた投資方針、投資対象を敷きたいところ。
今週中は両面戦略が軸となりますが、来週以降は国内決算シーズンの到来を見据えて、そろそろ新たな投資テーマを準備していく局面となるでしょう。
■今日の東京市場から
昨晩の米国市場は上昇。小売指標の改善や金融大手の好決算を受けて買い優勢で推移しています。
米商務省が発表した9月の小売売上高は前月比1.1%増加となり、市場予想の0..8%の増加を上回る結果に。
前月も1.2%増に上方修正されるなど、小売指標の改善を好感した買いが入り、ダウ構成銘柄ではホームデポ、ウォルマート、マクドナルドなどが堅調に推移しました。
また、シティグループが好決算を示し、5%超の上昇となるなか、金融大手の好業績期待でバンカメ、JPモルガンらダウ構成銘柄の上昇も株価指数を押し上げています。
ダウ平均株価は、前営業日比95.38ドル高の13,424.23ドル。
ナスダック総合指数は20.07ポイント高の3,064.18ポイントで取引を終えました。
為替相場では、欧米市場が好調に推移したことでリスク選好の円売りが優勢に。
東京時間早朝では、1ドル78円台半ば、1ユーロ101円台後半の円安水準で取引されています。
東京株式市場では、米国市場の上昇、為替相場の円安推移と外部要因改善を受けて買いが先行。
日経平均株価は8638円の続伸スタートに。
寄り付き後は、円安好感の外需関連株や米金融大手上昇で国内金融機関も強含むなど、幅広い銘柄に見直し買いが入り、日経平均株価が節目8600円に乗せ、戻り売りと押し目買いが交錯。
高値もみあいで推移しました。
昼休みを挟んで円がジリ安、後場も買い優勢の流れが継続。
日経平均株価は節目8700円に迫る8600円台後半での推移となり、大引け前には8700円台に乗せています。
日経平均株価終値は、123.38円高の8701.31円。
東証1部の売買代金は概算で1兆465億円。
東証1部の売買高は概算で15億5507万株。
値上がり銘柄は1164(69%)に対し値下がりは364(21%)、変わらずは145(8%)となりました。
■本日の注目相場
売買代金上位では、ここ連日で最上位に進出しているソフトバンク<9984>となり、協議中だった米携帯電話事業3位のスプリント・ネクステルの買収が決定し、新規のブリッジローンによる資金調達の活用で増資懸念後退とともに見直し買いを集めています。また、売買代金上位常連のグリー<3632>、ディー・エヌ・エー<2432>のネット関連、ファーストリテイリング<9983>の日経平均株価構成比率上位も底堅く推移していました。
米国市場で金融大手が好決算で物色を集めた流れから、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>のメガバンクも好調。
証券業の野村ホールディングス<8604>、不動産の三菱地所<8802>なども物色を集めています。
米国市場上昇、為替相場の円安推移と外部要因改善が続くなか、トヨタ<7203>、ホンダ<7267>、東芝<6502>、ソニー<6758>ら国際優良株、三菱商事<8058>、三井物産<8031>の総合商社など外需関連株もしっかり。
セクターでは、売り込まれていた商船三井<9104>、日本郵船<9101>の海運が業種別株価指数騰落の値上がり最上位に。
ソフトバンク<9984>、NTT<9432>、KDDI<9433>の通信、野村ホールディングス<8604>の証券などが続きました。
新日鉄住金<5401>、JFEホールディングス<5411>の鉄鋼、旭硝子<5201>、日本電気硝子<5214>のガラス製品、帝人<3401>、東レ<3402>の繊維、ブリヂストン<5108>、横浜ゴム<5101>のゴム製品など素材関連も買われています。
一方、値下がりはJXホールディングス<5020>の石油製品、アサヒグループホールディングス<2502>、キリンホールディングス<2503>の食料品、国際石油開発帝石<1605>の鉱業らに限られました。
新興市場では、バイオ関連のタカラバイオ<4974>、コスモバイオ<3386>、免疫生物研究所<4570>、医学生物学研究所<4557>、カイオム・バイオサイエンス<4583>、トランスジェニック<2342>、メディネット<2370>、メディビックグループ<2369>などが人気化。
軽量級のジェイアイエヌ<3046>、ワイヤレスゲート<9419>、ニューフレアテクノロジー<6256>なども賑わうなど、近視眼的な物色が目立っています。
■本日の注目銘柄シューティング!
<9984>ソフトバンク 2,485円 前日比+217円(+9.57%)大幅反発。
買収協議中だった米携帯電話事業3位のスプリント・ネクステルの買収で合意し、買収資金もみずほコーポレート銀行などによる新規のブリッジローンによって調達することが決まり、増資懸念の後退とともに見直し買いを集めている。
統合比率の関係でイー・アクセス<9427>も急速に見なおされた。
<8306>三菱UFJFG 361円 前日比+4円(+1.12%)
上伸。
米国市場でシティグループが好決算で買い進まれ、ダウ構成銘柄でもバンカメ、JPモルガンらの上昇が目立つなか、国内金融機関の同社株ほか、同業の三井住友FG<8316>、みずほFG<8411>などが堅調に推移している。
時価総額上位のメガバンクの活躍が株価指数を押し上げ、証券業の野村ホールディングス<8604>などの見直しにつながった。
<4974>タカラバイオ 915円 前日比+150円(+19.61%)
三連騰。
連日のストップ高となった。
iPS細胞開発者で知られる京大の山中教授のノーベル生理学医学賞受賞からバイオ関連がテーマ人気に発展しており、とくに再生医療関連で知られる同社株の活躍が目立っている。
コスモバイオ<3386>、免疫生物研究所<4570>、医学生物学研究所<4557>、カイオム・バイオサイエンス<4583>、トランスジェニック<2342>ら新興バイオ関連に短期資金が循環した。